「1枚ずつ使えば、7日間になるから……。お試し期間は1週間だったじゃないですか」
なるほど、と頷いた七条は、7枚目の紙を指し、啓太の顔をじっと見つめた。
啓太は、七条の目線を受けきれず、あさっての方向に目を泳がせている。
「1枚目から順番に使わないと無効です」
強気な言葉とは裏腹に、啓太は、小さい声でそう言った。七条は、くすくすと笑い声を立てている。
「それでは、早速いただきましょうか。1枚目のおやつを」
笑いながらそう言った七条を、軽くにらんだ啓太は、冷蔵庫へと足を急がせた。
1枚目に書かれた甘味は「プリン」。啓太が運んできたのは、お試し期間中に七条と啓太が行った名古屋で
二人で食べたプリンだった。思い出のプリン
 紙に書かれた甘味は、どれも二人で一緒に食べたもの。
 啓太が用意した、七条への誕生日プレゼントは、
 「二人の思い出」のようだった。
 啓太の想いを理解した七条は、プリンを愛おしそうに
 手に取り、啓太に笑いかけてから、頭を下げる。
 「ありがとう、伊藤くん」


照れて七条を見ようとしない啓太を、抱き寄せようとした七条だったが、珍しく啓太に押し戻されてしまった。
「1日1枚しか使えないんですってばっ」
「でも、せっかく僕の誕生日ですから、今日は」
にこにこと笑って肩に手を回してくる七条の腕を、懸命に振り切りながら、啓太が反論する。
「だから、7枚目っ……」
啓太の言葉に、思わず笑い始めてしまった七条は、その笑いを止められないまま、プリンのふたを開けた。
あの時と同じ、卵の柔らかい香り。想像していたよりも、あっさりとしていて食べやすく、啓太が喜んで
食べていたことを、七条は思い出していた。

明日、明後日と続くこの1週間は、このチケットを使うたびに、二人の思い出がよみがえることを約束してくれる。
啓太らしい誕生日プレゼントは、七条にとって、忘れられないものになりそうだった。
そして、啓太いわくの「お試し期間」最後の日に用意されたもの……。
7枚目の紙には、たった一言、「俺」と書かれていた。
幸せなのに、七条にとっては、少し長く感じてしまいそうな1週間は、まだ始まったばかりだった。

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